7二飛亜急戦はあまり知られていない戦法のように思えますが、対振り急戦の中でも大変優秀な戦法です。戦法が成功したときに勝利に直結するようなものではありませんが、相手が時間を使って考える中、自分は研究済みということでリードを奪えるような戦法です。
また、振り飛党の中村亮介六段が7二飛型に対する本を出版していたことから中村急戦という呼び方もありますが、ただでさえ7二飛亜急戦はマイナーなので別名はほとんど使われていません。
7二飛亜急戦
まず、前提としてこれは斜め棒銀および4五歩早仕掛けの知識が必須となります。
(リンクを貼っておきますので)あまり知らない人は軽くでよいので目を通しておきましょう。
では早速解説していきます。
7二飛亜急戦の基本的な狙い
7二飛亜急戦は後手番の戦法とされていますが、先手番でも使えます。今回は後手番で表示します。
24手目までは斜め棒銀のように一般的な対振り急戦の駒組みを進めていきます。そして26手目も鷺ノ宮定跡と同様のように△7二飛としましょう。振り飛車も定跡どおり▲7八飛とします。
そして次の一手がポイントの△6四歩です。斜め棒銀では銀を出るところ、歩を突いています。
これは4五(6五)歩早仕掛けのように仕掛けて角交換を目指していくということです。
振り飛車は斜め棒銀に備えて7筋に振りなおしたのを見て後出しじゃんけんで▲6五歩からの仕掛けを見ます。
こちらが狙いの筋です。
そして△同歩と取らせたところで飛車を戻して角打ちの隙を見出します。最終的には馬を作ることができて大成功となります。(実は互角だが馬があるという主張があり、戦いやすい)
実戦例
振り飛車は角打ちから飛車先の逆襲を狙ってきます。これには馬を引き付けて受けることで馬の防御力を生かして戦っていきます。
40手目の△4四銀も形的には△4四歩として受けたいところですが、右辺に馬を引き付けて戦い、左辺に銀を活用していくことがよりうまく戦えるのでおすすめです。
7二飛亜急戦の裏の狙い
振り飛車のセンスのいいひとは「誰がこんな6五歩なんか取るんだよ」と思うかもしれません。
むしろ▲6語歩とは可能な限り取りたくないのが振り飛車です。
実はこれ、▲6五歩と取るのが最善とされているんです。居飛車の7二飛亜急戦の使い手としては取らない変化のほうがよく見るというレベルですので、必ず覚えておきましょう。それでは取らない変化を見てみましょう。ここでは仮に▲9八香とします。
この変化は難解で、飛車交換で振り飛車が良いように見えるのですが、7九に飛車打ちの隙があり、振り飛車がこれを受けるのは持ち駒の角を使うしかなく(金を寄る手もあるが、△6七とから二枚替え)、大駒を持ち駒として持っているという主張ができ戦いやすいです。
よく見る7二飛亜急戦の勝ちパターン
割とこのような展開になりやすいのでおぼえておくといいかもという手筋を紹介します。
このように角を打つことができたら、振り飛車は浮き駒多く、先手で攻めることができます。これは斜め棒銀や4六銀左急戦でも出てくる筋ですので覚えておきましょう。


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